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「サツマイモ発電」は日本を救うか 屋上に「芋工場」 発酵させてメタンガス、農業復興に期待 産経新聞 2013年12月22日 [気になるニュース]




 「サツマイモを日本の基幹エネルギーに」。芋を発酵させて作り出されるメタンガスに着目し、近畿大学生物理工学部(和歌山県紀の川市)の鈴木高広教授が、ユニークな研究を進めている。成長が早くコストも比較的低く抑えられ、「『エネルギー産業』としての農業の可能性を切り開きたい」と鈴木教授は意欲をみせる。江戸時代には享保の大飢饉(1732年)から人々を救ったサツマイモは、再び日本の“救世主”となるか-。(秋山紀浩)

 ■屋上に「芋工場」
 「1平方メートルあたり、平均で20キロのサツマイモの収穫が可能です」。鈴木教授が胸を張った。

 近畿大学生物理工学部の研究棟屋上。普段学生らが立ち入らない広いスペースには、無数のポリ袋が棚に積まれて配置されている。袋の中には、芋の栽培用に配合された土が入れられ、その中からは、収穫を終えたサツマイモのつるなどが顔をのぞかせていた。

 「ここがサツマイモの栽培場所。平面でなく立体的に栽培用の袋を配置しました」と説明してくれた。

 燃料用として収穫量を大きく向上させるために鈴木教授が工夫を加えたのは、棚に栽培用のポリ袋を段状に配置し太陽光を効率的に利用する仕組みだ。成人男性の胸ほどの高さの三角形の棚に袋を積み、「4階建て」の立体構造とすることで収穫量を飛躍的に増やした。

 「弱い光でも光合成をすることができる芋の特性を考えた結果、この形にたどり着きました」と鈴木教授は話す。

 ■ペットボトルで栽培

 もともと民間化粧品会社で紫外線の有害性などについて研究していた鈴木教授。研究を続ける中で、太陽光を効率的に利用した植物栽培法に興味を持ち始めたという。

 平成22年に同大学で教授となってから、芋の持つ燃料としての潜在性に注目。収穫までに時間がかからず、栽培コストも安いというメリットを生かし、「段状に立体的に配置すれば、さらに効率が良くなる」と研究に乗り出した。

 最初は研究室の窓際で使用済みペットボトルを利用して栽培したが、ペットボトルの配置などによって収穫量が大きく変化することを発見。収穫までの期間も、6週間程度まで縮めることが可能と分かった。そうした結果をもとに試行錯誤の上、野外での棚を用いた栽培方法にたどり着いた。

 ■メタンを作り発電

 エネルギーとしての芋の利用方法については、当初は芋をチップ状にし、燃やして発電する方法を考えていた鈴木教授。現在は、芋を発酵させてメタンガスを作り出し、それを燃焼させる方法に取り組んでいる。

 「メタンガスを取り出す方法は比較的簡単で、効率も良い。小さな発電システムにも向いている」。研究室では芋を細かく砕いてペットボトルに入れ、40度程度の温度で発酵させてメタンガスを作り出している。鈴木教授は「今後、発酵から発電まで一連のシステムを作り、実証実験をしていきたい」と続ける。

 すでにドイツなどではメタンガス発電が実用化されており、成功を収めている農家もあるという。

 ■温暖化、食糧不足の解決なるか

 鈴木教授が研究の先に見据えるのは、化石燃料使用による地球温暖化問題や世界の人口増加による食糧不足、さらに化石燃料の輸入に頼る日本のエネルギー問題の同時解決だ。「芋でエネルギーをまかなえれば、年間約20兆円という日本の化石燃料の輸入コストを国内に還元できる」と話す。

 鈴木教授によると、日本で1年間に必要とされるエネルギーを全て芋でまかなうには40億トンの生産が必要だが、国内での生産量は300万トン程度にとどまる。しかし、効率を高めた栽培方法で遊休地などを活用すれば決して実現不可能な数字ではないという。

 さらに、芋の栽培は太陽光のエネルギーを使って二酸化炭素と水から炭水化物(デンプンなど)を合成し酸素を放出するため、地球にも優しいエネルギーという。

 鈴木教授は「農業に『燃料産業』という市場が生まれれば、農家の収入も大幅に増加する。就農者の増加にも寄与するはず」と話し、「芋エネルギーを通じて農業を復興し、地域の活性化にまでつなげたい」と期待を込めている。


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