原発事故避難で自殺、因果関係認め東電に賠償命令 TBS系（JNN） 2014年8月26日

原発事故避難で自殺、因果関係認め東電に４９００万円の賠償命令（TBS系（JNN）） - Y!ニュース http://t.co/KD9wUUhWum

— ZKSHANA (@ma_ko0623) 2014, 8月 26

　福島第一原発事故の影響で３年前、避難生活をしていた女性が焼身自殺をしました。「自殺は避難が原因だ」として、遺族が東京電力に損害賠償を求めた裁判で、福島地裁は東電の責任を初めて認める判決を言い渡しました。

　裁判所の前で男性は、妻の遺影を強く抱きしめていました。

　「あの木の下に火柱が見えた。ここで亡くなっていた」（渡辺幹夫さん）

　自宅の前で自殺した妻の最期について話す渡辺幹夫さん（６４）。福島第一原発からおよそ４０キロ。福島県川俣町の山木屋地区に３年前まで家族一緒に暮らしていました。

　「原発事故の前は明るい性格だった。カラオケも好きだった」（渡辺幹夫さん）

　明るく社交的だった妻のはま子さん。近所の人と集まっては、花見やバーベキューを楽しんでいたといいます。しかし、２０１１年３月に原発事故が起きてから生活は一変。自宅は計画的避難区域に指定され避難を余儀なくされました。家族は離ればなれとなり、狭いアパートで夫婦２人の避難生活が始まりました。

　「アパートにこもりきりなことがかなりあったから、周り誰も知らない人ばかりだからね」（渡辺幹夫さん）

　「自宅に戻りたい」。落ち込むはま子さんを励まそうと、渡辺さんははま子さんを連れ２か月ぶりに自宅に一時帰宅。しかし、２人で過ごす最後の時間となりました。

　「明け方、１時ごろだったと思う。トイレに起きて布団に入ろうとしたときに、はま子が自分の腕をつかんで離さなかった」（渡辺幹夫さん）

　次の日の朝、はま子さんは自ら命を絶ちました。焼身自殺でした。
　「買い置きのガソリン置いてあったから物置に、それをかぶったみたいで。今後の生活の不安、これが一番の原因。自分も同じ不安を抱えていたから、気づいてもやれなくて」（渡辺幹夫さん）

　「妻の自殺は原発事故による避難生活が原因だ」。渡辺さんは東京電力に対し、９１００万円あまりの損害賠償を求める裁判を起こしました。避難生活も３年が過ぎました。渡辺さんは裁判で東京電力に対し、はま子さんの自殺の責任を問う思いを強くしていました。

　「自殺の因果関係を東電に認めさせて、謝罪させたい」（渡辺幹夫さん）

　そして迎えた２６日の判決。福島地裁は、「生活の場を自らの意思によらず突如失い、終わりの見えない避難生活を余儀なくされたストレスは耐えがたいもの」と指摘。「５８年あまりの間、生まれ育った地で自ら死を選択することとした精神的苦痛は容易に想像しがたく、極めて大きなものであったことが推認できる」として、自殺と事故との間の因果関係を認め、東京電力に対しおよそ４９００万円の損害賠償を命じる判決を言い渡しました。

　「涙が出て止まらなかったです。（はま子さんに）裁判やって良かったねと伝えたい」（渡辺幹夫さん）

　「全国各地で争われている（東電への）損害賠償の裁判に、大きな影響をもたらす」（広田次男弁護士〔渡辺さん側〕）

　東京電力は「判決の内容を精査し、真摯に対応したい」とコメントしています。（26日23:06）